サウンドノベル 第一話 第一章
春、始業式。オレは中学生になった。世の中に超能力者が増え始めてどれくらいになっただろうか。わが中学でも能力者に合わせたシステムを導入し始めた。
生徒のメンタルケアを目的とした相談室の設置。普通ならカウンセラーを雇うものだ。しかし、この相談室のカウンセラー役にはオレが選ばれたのだ。
理由は3つ。今の社会の風潮で、年齢による格差が少なくなりつつあるということ。なりふり構わない適材適所。能力者の出現により、あらゆる分野に義務教育中の未成年も参加するようになった。
2つ目の理由はオレが部活に入っておらず、時間を持て余していたこと。(勉強とデートしかしていない。)
そして最後の理由は、俺が心を読む能力者だったからだろう。心を読むと言っても、相手の思考を言葉として読み取るのではなく、何を気にしていて、何どういう印象を持っているのか、要するに心の状態のニュアンスを感じる能力だ。まさにうってつけと思われたかもしれない。大人の事情を考えてもそれだけではないだろうけど。
今回の始業式では、能力者代表のスピーチをしなければならない。改めて能力者としての自覚を持たせるためだとか何だとか。オレのクラスの能力者全員がオレを推薦したためオレがスピーチをすることになった。そして今オレはステージに立ってマイクに向かっている。呼吸を整え、前を見据えて一礼して、
「それでは、辻道人くんよろしくお願いします。」
話し出した。
「みなさんはおよそ半年前に起こった事件を覚えているでしょうか。ある町で3人の子供が死亡しました。ここからそう遠くない、電車で10分あれば行ける町での出来事です。事件の全容は能力の暴走による事故と言われています。能力の暴走が起こる原因、それは精神的な圧力、簡単に言えばストレスです。の言う力の暴走を起こした生徒はいじめを受けていました。死亡したのはいじめの中心となっていた3人です。
みなさんはこの事実を聞いてどう思いましたか?いじめは良くない?能力者は恐ろしい?様々だと思います。ただ一つ言えることは同じ過ちを繰り返したくはないということです。そのために今年から能力者関係の相談を扱う相談室を学校の方で設置することになりました。能力を持て余している人、能力者と仲良くなりたい人、能力と関係ない悩みを持っている人でも構いません。僕は相談員としてどんな悩みも受け付けます。
そして、最後に、非能力者のみなさん。能力者は解らずに物を動かしたり、人の心を読んだりと、恐ろしく感じることもあるかもしれません。しかし、能力者とはいえ、あなた達と同じ心持った人間であるということを、どうか忘れないでください。能力者のみなさん。今の社会は僕達にとって住み心地の良い社会とはいえないかもしれない。
それでも、自暴自棄にならずにどうか一生懸命に生きてほしい。生きていれば必ず自分を受け入れてくれる人に出会えるはずです。これで終わります。」
体育館は拍手で包まれた。とくに心は動かなかった。やっかいなことになる予感だけがオレの中にあった。
…続く。
